コラム
心まで冬眠?冬季うつを防ぐ運動の力
冬になると、なんとなく気分が沈んだり、やる気が出なかったりしませんか?それは冬季うつ(季節性情動障害)のサインかもしれません。冬季うつは決して気のせいではなく、体内で実際に不調が発生している状態です。
冬季うつとは
冬季うつは、晩秋から冬にかけてうつ症状を発症し、春先の3月ごろになるとよくなるというパターンを繰り返すのが特徴です。女性や若年者に比較的多いとされており、うつ病を有する方の10~20%が冬季うつを経験するともいわれています。

主な症状
過眠・過食・体重増加 といった典型的なうつ病とは異なる非定型な症状が多く、「意欲低下や思考が進まない」「倦怠感がある」といった抑制症状が中心で、憂うつ感などの抑うつ症状は目立ちません。
- 過眠(睡眠の過多):いつもより長く寝てしまい、日中も強い眠気を感じます。
- 過食:特に甘いものや炭水化物を過剰に食べたくなる傾向があります。
- 集中力の低下:日常的な活動への集中力や活動意欲が著しく低下します。
- 体重増加:過食や運動不足により、体重が増加しやすくなります。
- 倦怠感:疲れを感じやすく、何もする気が起きない状態になることがあります。
主な原因
日照時間減少によるセロトニン(精神安定作用のある神経伝達物質)の低下とメラトニン(睡眠と覚醒のサイクルを調整するホルモン)の分泌リズムの乱れ、日光に当たることで皮膚で合成されるビタミンDの不足などが原因となります。
遺伝的要因・生活習慣・性格なども発症リスクに影響する可能性があります。遺伝的要因としては、光に対する感受性が強い体質の人は季節の変化に繊細に反応しやすい傾向があります。生活習慣や性格の要因としては、不規則な生活、体調不良、寒さからくる外出不足など、心身のバランスが崩れることで冬季うつの発症リスクを高めます。
運動の効果
冬季うつの予防と緩和には運動が有効です。運動によってセロトニンやドーパミンなどの幸せホルモンが分泌され、気分の改善とホルモンバランスや体内時計の調整に役立ちます。毎日同じ時間帯に運動を続けることで生活リズムを整えることにもつながります。
また、朝に太陽光を積極的に浴びることで、セロトニンの分泌が促進されます。ウォーキングやストレッチなど自分が楽しめる軽い運動を、太陽光を浴びながら無理なく続けていくと効果的です。週に3回・3ヶ月以上の運動でセロトニンの神経が強くなるといった報告もあり、運動を無理なく定期的・継続的に実施することが大切です。
まとめ
冬季うつと呼ばれる季節性情動障害・季節性感情障害は、うつ病のサブタイプの1つで、特定の季節にのみ体のだるさ、疲れやすさ、気分の落ち込みなどの症状が出る気分障害です。日照不足によるセロトニン分泌の低下や体内時計の乱れが主な原因となります。
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